英国学生ビザ、生活費の証明額を11月30日申請分から引き上げ、Graduate Routeは2027年1月から18か月

英国学生ビザ、生活費の証明額を11月30日申請分から引き上げ|Graduate Routeは2027年1月から18か月|業界リサーチ

調査基準日:2026年10月6日(2026年10月9日追記)|対象:英国Student routeの生活費要件の改定(HC 584)と、Graduate Routeの付与期間短縮(HC 1333)

英国内務省は2026年9月3日に公表した入管規則改正(Statement of Changes HC 584)で、学生ビザ(Student route)の生活費要件を引き上げました。2026年11月30日以降に申請する場合、ロンドンで学ぶ人は月£1,570、ロンドン以外は月£1,203(いずれも最長9か月分)を示す必要があります[1]。

あわせて、2025年10月14日に議会提出された規則改正(HC 1333)により、卒業後の就労ルートGraduate Routeは2027年1月1日以降の申請から18か月になります。博士課程の修了者は3年のままです[3][4]。本記事では、公表日・施行日・基準となる申請日を分けて整理します。どちらも入学日や出発日ではなく「申請日」で適用が決まります。

この記事のポイント

  • 生活費の証明額:2026年11月30日以降の申請から、ロンドン月£1,570(現行£1,529)、ロンドン以外月£1,203(現行£1,171)。上限は9か月分。11月29日までの申請は現行額。英国に12か月以上滞在している人の英国内申請は資金証明が不要[1][2]
  • Graduate Route:2026年12月31日までの申請は2年、2027年1月1日以降の申請は18か月。博士課程の修了者は申請日にかかわらず3年[3][4]
  • 日本国籍の場合:日本は書類提出が簡略化される対象国。居住国または英国内から申請すれば、資金の証拠書類は申請時の提出が原則不要。ただし審査官が求めることがあり、資金要件そのものは免除されない[2]
  • 2026年10月9日追記:帯同する家族の資金額は変更なし(1人あたりロンドン月£845、ロンドン以外月£680、最長9か月)。新しい額の円換算の目安は、ロンドン9か月分で約300万5,000円(2026年10月8日の公示相場で計算)[2][7]
目次

発表内容と施行日

HC 584は2026年9月3日に公表され、項目ごとに施行日が分かれています。学生に関係するのは、2026年10月8日施行のErasmus+参加者向けの特例と、2026年11月30日施行の生活費要件の改定です。生活費の改定には「11月30日より前に行われた申請は、11月29日時点の規則で判断する」という経過措置があります[1]。

改正条文(APP ST8〜ST10)は、Appendix StudentのST 12.3(a)の「£1529」を「£1570」に、ST 12.3(b)の「£1171」を「£1203」に、ST 12.4の「£1529」を「£1570」に置き換えるものです[1]。CASに記載された未払いの授業料を別途示す必要がある点は変わりません[2]。

発表と施行日の確認範囲
項目内容(出典付き)
公表日2026年9月3日(HC 584)[1]
2026年10月8日施行Erasmus+参加者向けの特例(Student・Visitor)。10月8日以降の申請に適用[1][5]
2026年11月30日施行生活費要件の引き上げ(ST 12.3・ST 12.4)。11月30日以降の申請に適用[1]
経過措置11月30日より前の申請は、11月29日時点の規則(現行額)で判断[1]
Graduate Route(別の改正)2025年5月12日の移民白書で方針を表明し、2025年10月14日にHC 1333を議会提出。2027年1月1日以降の申請から18か月[4]

出典:HC 584[1]、HC 1333説明覚書[4]、UKCISA[5]

生活費要件の新旧比較

生活費は「コースの月数×月額」で計算し、上限は9か月分です。1か月未満の端数は1か月に切り上げます。資金は28日間続けて保有している必要があります(ST 12.6・Appendix Finance)[2]。

学生ビザの生活費要件(申請日別)
項目2026年11月29日までの申請2026年11月30日以降の申請差額・注記
ロンドンで学ぶ場合(月額)£1,529£1,570+£41(約2.7%)[1][2]
ロンドン以外(月額)£1,171£1,203+£32(約2.7%)[1][2]
ロンドン・9か月分(上限)£13,761£14,130月額×9の計算値
ロンドン以外・9か月分(上限)£10,539£10,827月額×9の計算値
学校手配の寮のデポジット控除(上限)£1,529£1,570ST 12.4。ロンドン・ロンドン以外とも同額[1][2]
英国に12か月以上滞在中の英国内申請資金証明は不要資金証明は不要ST 12.1(変更なし)[2]

出典:HC 584(APP ST8〜ST10)[1]、Appendix Student ST 12.1・12.3・12.4[2]。寄宿制の私立学校(Residential Independent School)は「1学年分の授業料・寮費」という別の基準です。

申請日で見るスケジュール

同じ人でも、申請日がどちらの日付の前か後かで適用されるルールが変わります。下の表は申請日を基準に並べたものです[1][3]。

申請日ごとの適用ルール
申請日対象適用されるルール根拠
2026年10月7日までStudent・Visitor現行の規則HC 584[1]
2026年10月8日以降Erasmus+参加者(Student・Visitor)承認資格要件・就業体験の期間制限などの例外HC 584[1]、UKCISA[5]
2026年11月29日までStudent(生活費)ロンドン月£1,529/ロンドン以外月£1,171HC 584の経過措置[1]
2026年11月30日以降Student(生活費)ロンドン月£1,570/ロンドン以外月£1,203HC 584[1]
2026年12月31日までGraduate(学士・修士など)2年Appendix Graduate GR 8.1[3]
2027年1月1日以降Graduate(学士・修士など)18か月GR 8.1[3]、HC 1333[4]
申請日にかかわらずGraduate(博士)3年GR 8.1[3]

Graduate Routeの期間は決定日から数えます(GR 8.1)。

Graduate Routeの18か月化

Graduate Routeは、英国の学士・修士課程などを修了した人が、卒業後に職種の制限なく滞在できるルートです。HC 1333の説明覚書は、2025年5月12日の移民白書で表明した18か月への短縮を2027年1月1日以降の申請に適用し、博士修了者は3年を維持すると説明しています[4]。現行のAppendix Graduate(GR 8.1)も、学士・修士などは「2027年1月1日より前の申請なら2年、以後なら18か月」、博士は3年と定めています[3]。

Graduateは英国内からの申請に限られ、申請日までに大学が内務省へ修了を報告している必要があります(GR 1.2・GR 4.3)[3]。2026年秋から冬に修了する人は、修了報告の時期によって12月31日までに申請できるかが変わり、2年か18か月かが分かれます。修了日と大学の報告時期は早めに確認してください。

日本から申請する人の注意点

Appendix StudentのST 22.1(Differential evidence requirement)は、居住国または英国内から申請する場合、資金の証拠と、入学許可の取得に使った書類を「申請時に提出する必要はない(ただし審査官が求めることがある)」とし、対象国に日本を挙げています[2]。これは書類提出の簡略化で、資金要件の免除ではありません。求められたときに28日間の保有を示せるよう、申請日に合った額で準備しておくのが安全です。

6か月以内の語学コースなどは、学生ビザではなく訪問者(Standard Visitor)として学ぶ枠組みで、今回の学生ビザの生活費要件の改定とは別の制度です[6]。

10月8日施行の特例は、Erasmus+の参加機関で学ぶ参加者向けです。一般的な日本からの学位留学・語学留学の要件を緩めるものではありません[1][5]。

2026年10月9日追記:家族の資金額と円換算の目安

配偶者や子を帯同する場合は、学生本人の生活費に加えて、家族1人ごとの資金が必要です。家族の額はHC 584では変更されておらず、ロンドンで学ぶ場合は月£845、ロンドン以外は月£680です。9か月分か、家族が申請する許可期間のどちらか短い期間の分が必要で、上限はロンドン£7,605、ロンドン以外£6,120(月額×9の計算値)です[1][2]。28日間の保有や、英国に12か月以上滞在している場合に資金証明が不要になる扱いは、学生本人と同じ考え方です(ST 33・ST 37)[2]。

家族を帯同できるのは、政府の奨学金・スポンサーを受けて6か月以上のフルタイム課程で学ぶ学生や、博士課程などの研究型の大学院課程(9か月以上)で学ぶ学生などに限られます(ST 31.1)[2]。

生活費要件の円換算の目安(2026年11月30日以降の申請)
区分ポンド円換算の目安
本人・ロンドン(月額)£1,570約33万4,000円
本人・ロンドン(9か月分の上限)£14,130約300万5,000円
本人・ロンドン以外(月額)£1,203約25万6,000円
本人・ロンドン以外(9か月分の上限)£10,827約230万2,000円
家族1人・ロンドン(月額)£845約18万円
家族1人・ロンドン(9か月分の上限)£7,605約161万7,000円
家族1人・ロンドン以外(月額)£680約14万5,000円
家族1人・ロンドン以外(9か月分の上限)£6,120約130万1,000円

円換算は、三菱UFJ銀行の公表相場(2026年10月8日、英ポンドの対顧客電信売相場(TTS)1ポンド=212.65円)で計算し、千円未満を四捨五入した目安です[7]。審査はポンド建ての額で行われ、実際の円換算額は為替の変動や送金・両替の手数料で変わります。授業料は含みません。家族の9か月分は月額×9の計算値です。

現時点で未確認の事項

次の点は、確認した一次資料に記載がないか、公表待ちのため断定できません。

  • 新しい額に合わせた内務省ガイダンスの更新時期(UKCISAは、ガイダンスが施行日以降に公表される場合があると説明)[5]
  • HC 584以降の追加の規則改正の有無(本稿で確認した改正はHC 584まで)
  • Graduate Routeの付与期間以外の要件変更(本稿は期間の変更のみを確認)

出願予定者・在学生の確認事項

留学エージェント経由・大学への直接出願のどちらでも、申請日を起点に次の点を確認しておくと安全です。

状況別の確認事項
状況確認すること根拠
2026年11月30日以降に学生ビザを申請予定新しい額(ロンドン£1,570/それ以外£1,203×月数、最長9か月)と未払いの授業料を28日間保有ST 12.3・12.6[1][2]
11月29日までに申請予定現行額で判断される。申請日が11月30日以降にずれると新しい額になるHC 584の経過措置[1]
英国に12か月以上滞在し英国内で延長資金証明は不要ST 12.1[2]
日本から申請(日本国籍)証拠書類の添付は原則不要。求められたら提出できるよう準備ST 22.1[2]
2026年中に修了しGraduateを申請予定12月31日までに申請できれば2年、2027年以降は18か月。大学の修了報告の時期も確認GR 4.3・GR 8.1[3]
博士課程を修了予定申請日にかかわらず3年GR 8.1[3]
配偶者・子を帯同して申請予定家族1人ごとにロンドン£845/それ以外£680×月数(最長9か月)を本人の額に加えて保有。帯同できる課程かも確認(2026年10月9日追記)ST 31.1・33・37[2]

上記は2026年10月6日時点で確認した規則です(家族の行は2026年10月9日に確認)。改正やガイダンスの更新で変わることがあります。

よくある質問

11月30日より前にCASを受け取っていれば、現行額で申請できますか?

基準はCASの発行日ではなく申請日です。HC 584は、11月30日より前に行われた申請を11月29日時点の規則で判断するとしています。CASを早く受け取っていても、申請が11月30日以降なら新しい額(ロンドン月£1,570、ロンドン以外月£1,203)が適用されます。

日本人は資金証明が不要と聞きましたが本当ですか?

Appendix StudentのST 22.1により、居住国または英国内から申請する日本国籍者は、資金の証拠書類を申請時に提出しなくてよい扱いです。ただし審査官は提出を求めることができ、資金要件そのものは満たす必要があります。

1年以上のコースでも生活費は9か月分で足りますか?

生活費の上限は9か月分です。11月30日以降の申請なら、ロンドン£14,130、ロンドン以外£10,827(月額×9)に、CASに記載された未払いの授業料を加えた額が必要額の目安です。

Graduate Routeの18か月はいつから適用されますか?

2027年1月1日以降の申請からです。2026年12月31日までの申請は2年、博士課程の修了者は申請日にかかわらず3年です。申請は英国内からに限られ、申請日までに大学が修了を内務省へ報告している必要があります。

6か月以内の短期語学留学にも影響しますか?

6か月以内のコースを訪問者(Standard Visitor)として受講する場合、学生ビザの生活費要件は適用されません。影響を受けるのは学生ビザで渡航・延長する人です。

家族を帯同する場合の資金額も上がりますか?

HC 584で引き上げられたのは学生本人の額で、家族の額は変わりません。家族1人あたりロンドン月£845、ロンドン以外月£680を、最長9か月分(£7,605/£6,120)、本人の額に加えて示します(2026年10月9日追記)。

出典・確認日

  1. GOV.UK「Statement of changes to the Immigration Rules: HC 584, 3 September 2026」。確認日:2026年10月6日。施行日(10月8日・11月30日など)と経過措置、APP ST8〜ST10の金額置換(£1529→£1570、£1171→£1203)、Erasmus+関連条文。
  2. GOV.UK「Immigration Rules Appendix Student」。確認日:2026年10月6日。ST 12.1(12か月以上滞在者)、ST 12.3(現行£1,529/£1,171、最長9か月)、ST 12.4、ST 12.6(28日間)、ST 22.1(日本を含む対象国)。2026年10月9日にST 31.1・ST 33・ST 37(家族の資金額)を確認。
  3. GOV.UK「Immigration Rules Appendix Graduate」。確認日:2026年10月6日。GR 8.1(2027年1月1日前後で2年/18か月、博士3年、決定日から)、GR 1.2・GR 4.3。
  4. GOV.UK「Explanatory memorandum to the statement of changes to the Immigration Rules: HC 1333, 14 October 2025」。確認日:2026年10月6日。5.25〜5.26(2025年5月12日の白書、2027年1月1日以降の申請に18か月、博士3年維持)。
  5. UKCISA「Student update: Changes to the Immigration Rules, September 2026」。確認日:2026年10月6日。補助資料。生活費の新額、ガイダンス公表時期の注意。Erasmus+の整理は同団体の9月16日付追加記事も参照。
  6. GOV.UK「Visit the UK as a Standard Visitor: Visit to study」。確認日:2026年10月6日。訪問者として6か月以内の就学(英語コースを含む)。
  7. 三菱UFJ銀行「公表相場」2026年10月8日(三菱UFJリサーチ&コンサルティング掲載)。確認日:2026年10月9日。英ポンドTTS 212.65円・TTB 204.65円。

規則やガイダンスの表示は調査後に変わることがあります。本ページは記載した確認日の資料に基づきます。金額の差額・9か月分は掲載額からの計算値です。円換算は2026年10月8日の公表相場による目安です。

更新履歴:2026年10月9日、帯同家族の資金額と円換算の目安を追記しました。

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