調査基準日:2026年10月12日|対象:英国の移民規則改正(HC 584)のうち、Erasmus+参加者向けの学生ビザ・訪問者・GAEの改正
英国内務省は2026年9月3日に移民規則の改正(Statement of Changes HC 584)を議会に提出しました。このうち、英国が2027年にEUの教育・訓練プログラム「Erasmus+」に再び参加することに向けた改正が、2026年10月8日に施行されました[1][2]。
改正は、Erasmus+の参加者が学生ビザ(Student・Child Student)や訪問者(Visitor)、政府認定交流(GAE)のルートを使えるように条件を広げるものです[1][2]。今回のErasmus+参加者向けの学生ビザ特例によって、一般的な語学留学・学位留学の条件が緩和されるわけではありません。同じHC 584に含まれる学生ビザの生活費の引き上げ(11月30日施行)は、英国学生ビザ、生活費の証明額を11月30日申請分から引き上げで扱っています。
この記事のポイント
- 施行:2026年10月8日。それより前の申請は10月7日時点の規則で判断[1]
- 学生ビザ:Studentルートでは、対象のErasmus+コースについて資格要件や実習期間の割合上限などを緩和。実習は引き続きコースの一部として評価される必要がある[1][2]
- 訪問者:対象のErasmus+参加者は活動別の条件付きで研修やジョブシャドウイングなどが可能に。Visitorで最長30日間のトレーニーシップを行えるのは18歳以下の参加者。ワークショップ・ディベート・技能競技会はErasmus+参加者に限らずStandard Visitorなども対象[1][2]
- GAE:「Erasmus+」の交流スキームを追加。最長12か月[1]
- 背景:英国とEUは2025年12月17日に、2027年の英国のErasmus+参加で合意[2]
変更内容の要点
| 項目 | 従来 | 変更後 | 適用日 | 対象・例外 |
|---|---|---|---|---|
| 学生ビザの課程の条件 | 承認資格につながる課程か、入学前英語コースであること | Erasmus+の課程は、承認資格につながらなくてもスポンサー可能 | 2026年10月8日 | Erasmus+に参加するスポンサー校のErasmus+参加者[1][2] |
| 学生ビザの課程のレベル | RQFレベル3または4以上(スポンサーの状態による) | StudentルートのErasmus+対象コースは、イングランド・ウェールズ・北アイルランドでRQFレベル2以上、スコットランドでSCQFレベル5以上も可 | 同上 | 同上[2] |
| 就業体験(ワークプレイスメント) | 学位未満の課程は仮スポンサー(Probationary Sponsor)では不可、承認資格につながる課程のみ、課程全体の3分の1(一定の場合は2分の1)まで | StudentルートのErasmus+対象コースは、所定の資格要件・スポンサーの暫定資格に関する制限と実習期間の割合上限を緩和。実習は引き続きコースの一部として評価される必要あり | 同上 | 同上[2] |
| 公立校・アカデミーでの就学 | 限られた場合のみ | スポンサー資格を持つ公立校・アカデミーがErasmus+参加者をスポンサーする場合も可 | 同上 | Student・Child Student[2] |
| 訪問者の活動 | — | 活動別の条件付きで研修・ジョブシャドウイング・スポーツの指導や研修などが可能。トレーニーシップは18歳以下・最長30日で、英国の労働時間規則なども適用 | 同上 | Erasmus+の正規の参加者であることを示す必要あり[1][2] |
| Erasmus+参加者に限らない訪問者の活動 | 会議・セミナー・面接などへの出席 | ワークショップ・ディベートへの出席と、技能競技会(Skills competitions)への参加を追加 | 同上 | Erasmus+参加者に限らない[1][2] |
| GAE(政府認定交流) | — | 「Erasmus+」スキームを追加(運営:IRARA Services Ltd、最長12か月) | 同上 | トレーニーシップ、教育実習、研修などの参加者[1][2] |
対象になる人と対象外のケース
対象になる人
学生ビザの特例は、Erasmus+に参加するスポンサー校で学ぶErasmus+の参加者が対象です[1][2]。訪問者として学ぶ場合は、Erasmus+に参加する認定教育機関の課程に受け入れられ、Erasmus+のモビリティ・プロジェクトの参加者として活動する意思を示す必要があります[1]。18歳未満がトレーニーシップやジョブシャドウイングを行う場合は、親または法定後見人と、所属教育機関の双方の許可を書面で示す必要があります[1]。
研修は、参加する海外組織・教育機関の職員や協働者、Erasmus+のYouth Workerなどが対象です。ジョブシャドウイングは参加型の観察に限られます。研修・ジョブシャドウイング・スポーツの指導等は恒常的な職を埋める活動にはできません[3]。
対象外のケース
Erasmus+に参加していない一般の留学生(語学留学・学位留学など)の学生ビザの条件は、今回の特例では変わりません[1][2]。Erasmus+はEUのプログラムで、誰が参加者になれるかは各プログラム・プロジェクトの条件によります。本記事は英国の移民規則の改正だけを扱い、Erasmus+への参加資格は扱いません。
一方、訪問者がワークショップやディベートに出席できること、技能競技会に参加できることは、Erasmus+参加者に限らない改正です。ただし、訪問者としての一般の要件は引き続き満たす必要があります[1][2]。
いつから適用されるか
- 2025年5月:英国・EU首脳会議で、英国がErasmus+への再参加をめざすことで一致[2]
- 2025年12月17日:英国政府と欧州委員会が、2027年の英国のErasmus+参加で合意したと発表[2]
- 2026年4月15日:英EU貿易協力協定の議定書Iを改正[2]
- 2026年9月3日:HC 584を議会に提出[1]
- 2026年10月8日:Erasmus+関連の改正を施行。10月7日までの申請は従来の規則で判断[1]
- 2026年11月30日:同じHC 584による学生ビザの生活費の引き上げを施行(別記事で扱い済み)[1]
- 2027年:英国のErasmus+参加[2]
公式案内で確認しておきたいこと
| 確認すること | 確認先 | 理由 |
|---|---|---|
| プロジェクトがErasmus+のモビリティ・プロジェクトか | 送り出し機関・受け入れ機関 | 訪問者・学生ビザの特例はErasmus+参加者に限られる[1] |
| 受け入れ先がスポンサー資格を持っているか | 受け入れ機関 | 学生ビザで受け入れるには学生スポンサー資格が必要。訪問者ではスポンサーは不要[2] |
| 18歳未満の参加者の同意書 | 親または法定後見人と所属教育機関 | トレーニーシップ・ジョブシャドウイングで必要[1] |
| GAEを使う場合の手続き | IRARA Services Ltd | Erasmus+のGAEスキームを運営する[1][2] |
本記事は公表資料の内容を整理したもので、個別の手続きについての助言ではありません。
よくある質問
- 日本からの一般の語学留学に影響はありますか?
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学生ビザの特例はErasmus+の参加者に限られるため、一般の語学留学・学位留学の学生ビザの条件は変わりません。訪問者がワークショップやディベートに出席できる改正は、Erasmus+参加者に限らず、Standard Visitorなどの対象となる訪問者にも認められます。訪問者の種類ごとに許可活動が異なります。
- いつの申請から新しい規則になりますか?
-
2026年10月8日以降の申請です。それより前の申請は、10月7日時点の規則で判断されます。
- Erasmus+の参加者は何人くらい英国に来る見込みですか?
-
内務省の説明文書は、正確な見積もりは難しいとしたうえで、2019年には約6万人のErasmus+参加者が英国に来たというEUの報告を挙げ、2019年の水準を上回る見込みとしています。
出典と更新履歴
- GOV.UK「Statement of changes to the Immigration Rules: HC 584, 3 September 2026」。確認日:2026年10月12日。施行日と経過措置、APP V1〜V4、APP PA1・PA4・PA7(PA 20.1〜20.4)、APP ST・CS、APP GAES1(Erasmus+スキーム、IRARA Services Ltd、最長12か月)。
- GOV.UK「Explanatory memorandum to the statement of changes in Immigration Rules: HC 584」。確認日:2026年10月12日。5.10〜5.25(背景と改正内容)、6.3(施行日)、9.3〜9.15(影響の見込み)。
- GOV.UK「Appendix Visitor: Permitted Activities」。確認日:2026年10月12日。PA1の訪問者区分、PA20.1〜20.4の活動別条件、トレーニーシップの18歳以下・最長30日という範囲。
- GOV.UK「Appendix Student」。確認日:2026年10月12日。Erasmus+対象コースの資格・レベル・実習要件。
規則や案内の表示は調査後に変わることがあります。本ページは記載した確認日の資料に基づきます。
更新履歴
- 2026年10月12日:初版作成。HC 584本文と説明文書を照合し、Erasmus+関連の改正を整理
- 2026年10月12日:公開前レビュー。規則本文に基づき、トレーニーシップの年齢制限と活動別条件、Studentルートの特例の範囲を追記

