日本人の海外留学者数を大学等が把握した範囲で見ると、最新の2024年度は91,054人でした。前年度から2.1%増ですが、コロナ前の2018年度と比べると79.1%の水準です。2020年度の急減から回復が続く一方、過去最多の水準には届いていません。 [1][2]
この記事では、JASSO(日本学生支援機構)の調査を中心に、長期推移、コロナ前との比較、留学期間別の内訳を整理します。民間留学事業者を対象とするJAOS(海外留学協議会)の最新調査は、対象が異なるため別に取り上げます。
最終確認日:2026年10月5日|JASSO:2024年度実績・2026年5月29日公表|JAOS:2025年実績・2026年5月公表
数字を読む前に:JASSOもJAOSも、日本人の海外留学者をすべて網羅する統計ではありません。調査範囲には重なり得る部分があり、2つの人数を足して「日本人留学生の総数」とすることはできません。
どの「海外留学者数」を見ているのか
| 比較項目 | JASSO 日本人学生留学状況調査 | JAOS 日本人留学生数調査 |
|---|---|---|
| 人数の集め方 | 日本国内の大学等が把握した在籍日本人学生の留学を集計 | JAOS加盟の留学事業者が取り扱った留学・国際教育プログラムを集計 |
| 主な対象 | 大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程の日本人学生 | 大学生に加え、小中高校生や社会人等を含む会員事業者の利用者 |
| 集計期間 | 年度単位。2024年度は2024年4月〜2025年3月に現地で学び始めた留学 | 暦年単位。最新調査は2025年1〜12月 |
| 協定・私費留学 | 協定の有無を問わず集計。ただし協定なしは在籍校が把握している範囲 | 大学の協定の有無で整理した集計ではない |
| オンライン | 渡航前にオンラインで学んだ期間は対象外。海外の現地での学習開始を基準とする | 2025年実績の公表総数にはオンライン留学926人を含む |
| 全市場との違い | 在籍校が把握していない留学や、対象校に在籍しない人の留学は捉えきれない | JAOS非加盟事業者の取扱いや、事業者を利用しない留学を網羅する数ではない |
JASSOの「留学」には、学位取得だけでなく、単位取得、語学研修、異文化体験、研究指導など、海外の教育機関と関連するプログラムも含まれます。「海外大学に長期間在籍する日本人だけ」の数とは一致しません。 [1][4]
JAOSの最新調査は41社を対象としています。JASSOの回答校数・回答率、およびJAOSの回答率や同一事業者だけでの比較値は、今回確認した公表資料では確認できませんでした。対象範囲の違いに加え、毎年まったく同じ学校・事業者を追った比較とは限らない点にも留意が必要です。 [1][5][6]
2009〜2024年度の推移
JASSOの協定あり・なしを合わせた人数は、2009年度の36,302人から増え、2018年度に115,146人となりました。その後、2019年度は107,346人、2020年度は1,487人に減少。2021年度以降は増加に転じ、2024年度は91,054人でした。 [1]
単位:人|2009〜2024年度|協定あり・なしの合計。年度は4月〜翌年3月
2009年度から協定なしを含む。2013年度の調査対象拡大箇所では線を分断。同じ学校だけを追った比較値かは公表資料で確認できない。出典:JASSO 2024年度調査 p.1
系列の変更:協定なしの留学者数は2009年度から調査が始まりました。このため、2008年度以前の「協定ありのみ」の値はこのグラフにつないでいません。また、2013年度に高等専門学校・専修学校専門課程が対象に加わっているため、2012年度以前との比較には対象変更の影響が含まれます。2018年度は調査名が変わりましたが、JASSOは対象・項目の変更はないと説明しています。 [1][4]
| 年度 | 協定あり(人) | 協定なし(人) | 合計(人) |
|---|---|---|---|
| 2009 | 23,988 | 12,314 | 36,302 |
| 2010 | 28,804 | 13,516 | 42,320 |
| 2011 | 36,656 | 17,335 | 53,991 |
| 2012 | 43,009 | 22,364 | 65,373 |
| 2013 | 45,082 | 24,787 | 69,869 |
| 2014 | 52,132 | 29,087 | 81,219 |
| 2015 | 54,455 | 30,001 | 84,456 |
| 2016 | 60,810 | 36,043 | 96,853 |
| 2017 | 66,058 | 39,243 | 105,301 |
| 2018 | 70,541 | 44,605 | 115,146 |
| 2019 | 66,450 | 40,896 | 107,346 |
| 2020 | 532 | 955 | 1,487 |
| 2021 | 8,151 | 2,848 | 10,999 |
| 2022 | 38,211 | 19,951 | 58,162 |
| 2023 | 56,560 | 32,619 | 89,179 |
| 2024 | 57,262 | 33,792 | 91,054 |
出典:JASSO 2024年度調査の過年度一覧。協定なしは日本の在籍学校が把握した人数です。 [1]
コロナ前の水準にどこまで戻ったか
2024年度は、2018年度に比べて24,092人少なく、79.1%の水準です。2019年度との比較では16,292人少なく、84.8%です。本記事ではコロナ前の主な比較基準を2018年度とし、2019年度比も補足します。2019年度の集計期間には2020年3月までが含まれるためです。
単位:指数|2018年度=100(115,146人)|JASSOの同じ人数系列で比較
2019年度は2020年3月までを含むため、コロナ前の主基準は2018年度。出典:JASSO 2024年度調査 p.1。指数は当サイト計算
| 年度 | 人数 | 2018年度=100 | 2019年度=100 |
|---|---|---|---|
| 2018 | 115,146人 | 100.0 | 107.3 |
| 2019 | 107,346人 | 93.2 | 100.0 |
| 2020 | 1,487人 | 1.3 | 1.4 |
| 2021 | 10,999人 | 9.6 | 10.2 |
| 2022 | 58,162人 | 50.5 | 54.2 |
| 2023 | 89,179人 | 77.4 | 83.1 |
| 2024 | 91,054人 | 79.1 | 84.8 |
前年比では、2023年度の増加数は31,017人、2024年度は1,875人でした。増加は続いていますが、直近年度の増加幅は小さくなっています。この人数の推移だけで、費用・為替・受入政策など個々の要因の影響を切り分けることはできません。
留学期間別では1か月未満が66.2%
2024年度の内訳で最も多いのは、1か月未満の60,301人です。総数91,054人の66.2%を占めます。3か月未満の2区分を合計すると68,818人で75.6%となり、大学等が把握する留学では短期間のプログラムが人数の多くを占めています。 [1]
単位:人|2024年度|括弧内は総数91,054人に占める割合。不明も分母に含む
期間はJASSOの区分。1か月未満にも短期の研修等を含む。学位目的の長期留学だけを示す統計ではない。出典:JASSO 2024年度調査 p.2。構成比は当サイト計算
| 留学期間 | 2018年度 | 2019年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2024年度構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1か月未満 | 76,545人 | 71,263人 | 57,044人 | 60,301人 | 66.2% |
| 1か月以上3か月未満 | 10,372人 | 10,408人 | 8,747人 | 8,517人 | 9.4% |
| 3か月以上6か月未満 | 12,271人 | 11,404人 | 10,376人 | 10,130人 | 11.1% |
| 6か月以上1年未満 | 13,237人 | 11,562人 | 10,420人 | 9,907人 | 10.9% |
| 1年以上 | 2,034人 | 1,924人 | 2,122人 | 1,793人 | 2.0% |
| 不明 | 687人 | 785人 | 470人 | 406人 | 0.4% |
| 合計 | 115,146人 | 107,346人 | 89,179人 | 91,054人 | 100.0% |
出典:2018・2019年度はJASSO 2019年度調査p.1、2023・2024年度は2024年度調査p.2。割合は原人数から計算し、小数第1位に丸めています。 [1][3]
前年との比較では、1か月未満は3,257人増えた一方、1か月以上の各期間区分はいずれも減っています。総数の増加が、すべての留学期間に均等に広がっているわけではありません。なお、留学期間の長短だけで、学位取得目的かどうかを判定することはできません。
JAOS調査で見る民間事業者の取扱い
JAOSの2025年調査の公表総数は168,931人です。このうち海外教育旅行が138,421人、教育旅行を除く個人留学が30,510人でした。個人留学の内訳は、オフライン29,584人とオンライン926人です。したがって、公表総数をそのまま「海外に渡航した人数」と読み替えることはできません。 [5]
単位:人|2025年1〜12月|調査対象:JAOS加盟41社。総数168,931人
JASSOとは別調査。日本人の海外渡航者全体を数えた統計ではなく、オンライン926人も含む。JASSOとの合算不可。出典:JAOS 2025年調査 PDF 1〜3ページ
| 区分 | 2025年人数 | 公表総数に占める割合 |
|---|---|---|
| 海外教育旅行:中高・自治体 | 117,156人 | 69.4% |
| 海外教育旅行:大学・専門学校 | 21,265人 | 12.6% |
| 教育旅行以外:オフライン | 29,584人 | 17.5% |
| 教育旅行以外:オンライン | 926人 | 0.5% |
| 合計 | 168,931人 | 100.0% |
海外教育旅行の2区分は合計で81.9%です。短期研修、語学留学、正規留学など目的の異なるプログラムが同じ総数に含まれるため、目的別の内訳とあわせて読む必要があります。
過年度の公表総数は、調査範囲の変化とあわせて見る
JAOSの公表値を下表に示します。2024年調査では、中高学校・地方自治体が主催・募集する海外教育旅行を初めて調査したと説明されています。また、調査対象の事業者数は年によって異なります。これらの条件をそろえた比較値ではないため、2025年の総数増加から、日本全体の留学市場が同じ割合で拡大したとは判断できません。 [5][6]
| 対象年 | 公表総数 | 調査対象事業者数 | 読み方の注意 |
|---|---|---|---|
| 2019 | 77,953人 | 41社 | 比較上の注意は表下参照 |
| 2020 | 18,374人 | 43社 | 比較上の注意は表下参照 |
| 2021 | 15,083人 | 42社 | 比較上の注意は表下参照 |
| 2022 | 34,304人 | 40社 | 比較上の注意は表下参照 |
| 2023 | 66,007人 | 40社 | 比較上の注意は表下参照 |
| 2024 | 70,253人 | 39社 | 中高・自治体の海外教育旅行を初調査。大学・専門学校の教育旅行も別掲 |
| 2025 | 168,931人 | 41社 | 海外教育旅行138,421人とオンライン926人を含む |
2019〜2024年の人数・事業者数はJAOS 2024年報告p.2の再掲値を採用しています。2025年は最新報告によります。「事業者数」は調査対象数であり、回答率ではありません。オンライン留学を含む年や教育旅行の項目追加があるため、同一定義の市場推移として線でつないでいません。 [5][6]
参考として、2024年の海外教育旅行は、中高・自治体15,345人と大学・専門学校795人の計16,140人でした。2024年の教育旅行以外54,113人、2025年の30,510人はいずれもオンラインを含む区分です。個別事業者の増減や調査対象の変更を分離した値ではないため、留学需要全体の増減とは区別して扱います。 [5][6]
業界動向として読み取れることと限界
- 大学等が把握する留学は回復途上:JASSOの2024年度は前年度を上回る一方、2018年度の約8割です。
- 短期間の留学が人数の中心:1か月未満で66.2%。直近の総数増加にはこの区分の増加が寄与しています。
- 民間事業者の統計は別の範囲を補足:JAOSは学校教育での海外経験や社会人等も含む動向を示しますが、調査範囲・対象社数・オンラインの扱いを確認する必要があります。
これらの統計から、留学エージェント各社の売上、取扱シェア、利益率、利用者の満足度まで判断することはできません。事業やサービスを比較する際は、対象の年代、留学目的、期間、学校経由・個人手配などの条件を合わせて確認することが重要です。
集計方法と更新方針
- 基準日:2026年10月5日に確認できた公式公表資料を使用しています。
- 主系列:JASSO「協定あり+協定なし」の合計。過年度値は最新報告の推移表を優先しています。
- 年度と暦年を区別:JASSOは年度、JAOSは1〜12月の暦年で表示しています。
- 計算:前年比=当年度人数÷前年度人数−1。比較指数=当年度人数÷基準年度人数×100。構成比=区分人数÷調査総数×100です。
- 丸め:割合・指数は小数第1位に丸めています。人数は原資料の整数を使用し、欠測値を補完していません。
- 更新:次回公表時に、対象・定義の変更と過年度修正を確認してから、本文・グラフ・基礎データを同時に更新します。
資料上の表記について:JASSO 2024年度PDFの冒頭注3には「2023年度中」との記載がありますが、同PDFの表紙・冒頭対象期間と、公式説明ページは2024年度です。本記事はこれらの対象期間の記載に基づき、2024年4月1日〜2025年3月31日の調査として扱っています。
出典
- JASSO「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」
2026年5月公表。p.1:2003〜2024年度の推移、p.2:期間別、冒頭:調査定義・回答基準時点。PDFの表紙・説明・目次を除く冊子内ページ番号。確認日:2026年10月5日。 - JASSO「2024年度日本人学生留学状況調査」公表リリース
2026年5月29日公表。公表日・最新総数・前年比・調査定義。確認日:2026年10月5日。 - JASSO「2019(令和元)年度日本人学生留学状況調査結果」
2021年3月公表。p.1:2019年度と2018年度の期間別人数。確認日:2026年10月5日。 - JASSO「日本人学生留学状況調査」一覧
2018年度の調査名称変更と対象・項目の継続性。確認日:2026年10月5日。 - JAOS「日本人留学生数調査」2025年集計結果
リリース一覧記載:2026年5月25日。PDF 1〜3ページ:総数・教育旅行・オンライン・オフライン内訳、7〜8ページ:調査概要。確認日:2026年10月5日。 - JAOS「日本人留学生数調査」2024年集計結果
リリース一覧記載:2025年5月29日。p.2:2019〜2024年公表総数、p.3:目的別内訳、p.1・5:中高・自治体教育旅行を初調査、p.6:調査概要。確認日:2026年10月5日。 - JAOS「広報・リリース」
2025・2024年集計結果の公表日と各年リリース一覧。確認日:2026年10月5日。
更新履歴
2026年10月5日:初版作成。JASSO 2024年度およびJAOS 2025年の公表資料を反映し、長期推移・コロナ前比較・期間別内訳を整理。

