調査基準日:2026年10月9日(日本時間)|対象:米国国土安全保障省(DHS)の規則案(NPRM)「Optional Practical Training Fees」(Docket No. ICEB-2026-0100、FR Doc. 2026-20660)。官報の正式掲載版(10月8日掲載)とDHSの発表で確認。規則案であり、この提案による新手数料はまだ施行されていません。CPTの解釈厳格化、F/Jの在留期間ルールとは別テーマ
米国国土安全保障省(DHS)は2026年10月7日(米国時間)、F-1学生の実務研修OPT(Optional Practical Training)について、学校(SEVP認定校)が学生1人ごとに初回7万ドル、初回7万ドルを納付済みでOPTに参加した学生の後続推薦ごとに3万ドルの手数料を納める規則案を発表しました[1][2]。規則案は10月7日に官報(Federal Register)の公開閲覧に載り、10月8日に正式掲載されました[2]。
まだ提案の段階で、この案による新手数料は施行されていません。正式掲載版による規則案全体への意見期限は2026年11月9日です。書類手続き(Paperwork Reduction Act:PRA)に関する情報収集への意見期限は2026年12月7日で、別枠です[2]。最終規則がいつ出るかは決まっておらず、規則案では最終規則の官報掲載から60日後に効力が生じるとしています[2]。
この記事のポイント
変更内容の要点
OPTは、F-1学生が専攻に直接関連する分野で働ける一時的な就労許可です。在学中(pre-completion)と卒業後(post-completion)があり、教育レベルごとに最長12か月、STEM分野の学位では追加で24か月の延長が認められる場合があります[1][2]。現行の流れは、学校の指定学校職員(DSO)がOPTを推薦し、学生が米国市民権・移民局(USCIS)にForm I-765で就労許可を申請する、というものです[2]。
| 項目 | 現行 | 規則案(変更後) | 適用日 | 対象・例外 |
|---|---|---|---|---|
| 初回OPTの手数料 | 今回提案された学校負担のOPT手数料はなし(学生の申請料等は別) | 学校が学生1人につき7万ドル(1回限り)をDSOの推薦前に納付[2] | 最終規則掲載の60日後以降の日付の推薦(日付は未定)[2] | 在学中・卒業後・STEM延長を問わず、施行日以後の新しい推薦で初回7万ドルがまだ納付されていない学生(移行条項を含む)[2] |
| 2回目以降の手数料 | なし | 以前にOPTに参加し7万ドルが納付済みの学生の、次の推薦ごとに3万ドル[2] | 同上 | 在学中OPTの次の卒業後OPT、STEM OPT延長など[2] |
| 手続きの順序 | DSOの推薦 → 学生がI-765を申請 | 学校が納付 → DSOがSEVISに納付情報を入れて推薦 → 学生がI-765を申請。未納のときUSCISは就労許可を出さない[1][2] | 同上 | 転職(雇用主の変更)だけでは手数料は発生しない[2] |
| 返金 | — | 就労許可証(EAD)が出る前なら、SEVPが個別に判断して返金できる。EAD発行後は返金なし。判断に不服申立てはできない[2] | 同上 | 返金を求める前に、DSOがSEVISの推薦を取り消す必要あり[2] |
| 手数料の行き先 | — | 米国財務省の一般歳入。ICEは受け取らない[1][2] | — | — |
出典:規則案(NPRM)本文[2]、DHSの発表[1]。金額はいずれも米ドルで、学生本人がUSCISに払う申請料とは別です。
手数料の組み合わせ(規則案の説明と計算例)
規則案は、在学中OPTのあと卒業後OPTに進む例を挙げ、学校は在学中OPTに7万ドル、卒業後OPTに3万ドルを払う必要があると説明しています[2]。2回目以降の3万ドルはSTEM OPT延長にもかかるため、条文どおりに読むと、初回7万ドルの納付とOPT参加を経て、後続の推薦を2回受けるケースでは合計13万ドルになります(業界リサーチの計算)。以下の表は、いずれも規則案の施行後に初回7万ドルを納付し、各段階の推薦を受ける場合の例です。
| 使い方 | 学校が払う手数料 | 根拠 |
|---|---|---|
| 卒業後OPTのみ(最長12か月) | 7万ドル | 初回の手数料[2] |
| 卒業後OPT+STEM OPT延長 | 7万+3万=10万ドル | STEM延長は2回目以降に該当[2] |
| 在学中OPT+卒業後OPT | 7万+3万=10万ドル | 規則案に記載された例[2] |
| 在学中OPT+卒業後OPT+STEM OPT延長 | 7万+3万+3万=13万ドル | 業界リサーチの計算(規則案の定義を当てはめたもの) |
DHSは経済分析の中で、合計10万ドルを避けるため在学中OPTを使わず卒業後OPTにまとめる動きが出ると想定しています[2]。学部段階のOPTで初回7万ドルが納付済みで、OPTに参加した人が修士段階でも推薦を受ける場合、規則案の後続手数料は3万ドルです。移行条項では、施行日以後の日付の新しいDSO推薦について初回7万ドルをまだ納付していない学生は7万ドルの対象です。すでにOPT中の人の新たなSTEM延長推薦も、この基準で扱う案です(提案8 CFR 214.13(i)(3))。DHSは「上の教育レベルに進んだら改めて7万ドル」とする代替案も検討しており、この点について特に意見を求めています[2]。
対象になる人と対象外のケース
| 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 納付する義務がある人 | OPTを推薦するSEVP認定校。DHSは、2022〜2024年にOPT参加者がいた学校を2,478校と数えています | [2] |
| 影響を受ける学生 | 最終規則の効力発生日以降の日付でDSOの推薦を受けるF-1学生。F-1の資格を入国時に得たか、米国内の資格変更で得たかは問わない | [2] |
| 対象外(規則案) | 効力発生日より前にOPTの推薦を受けた人、OPTが承認済みの人、現在OPT中の人。ただし効力発生日以降の日付で新しいOPT(STEM延長など)のDSO推薦を受けると対象になる | [2] |
| 小規模校の免除 | なし。DHSは小規模校の免除も検討したが、認定校の56%が小規模事業者に当たり不正対策に穴が開くとして採用していない | [2] |
| CPT(在学中インターン) | 対象外。規則案は「OPTに限り、CPTは扱わない」と明記。 | [2] |
| 雇用主 | 手数料は特定の雇用主に結び付かず、転職だけでは発生しない。ただし学校が雇用主に負担を求めることは制限されていない | [2] |
個別の就労許可・在留・費用負担を保証するものではありません。
学生本人の負担について、規則案は納付義務を学校に置き、学生に直接の支払いを課していません。一方でDHSは、学校がこの負担をF-1学生、全学生、または雇用主に回す可能性を認め、資金の集め方は制限しないとしています[2]。実際に誰が負担するかは学校ごとの判断になり、現時点では確認できません。
いつから適用されるか
| 日付 | 出来事 | 備考 |
|---|---|---|
| 2026年10月7日 | 官報の公開閲覧に掲載(米国東部時間8:45、FR Doc. 2026-20660、91ページ)[2] | 翌10月8日に正式掲載 |
| 2026年10月7日 | DHSが規則案を発表[1] | 米国時間 |
| 2026年10月8日 | 官報に規則案を正式掲載[2] | 91 FR 64566–64600。正式掲載後も規則案(NPRM)の段階 |
| 2026年11月9日 | 規則案全体への意見募集の締切[2] | オンライン提出は最終日の米国東部時間23:59まで。提出時はRegulations.govの受付状況も確認 |
| 2026年12月7日 | 書類手続き(Paperwork Reduction Act:PRA)に関する情報収集への意見締切[2] | 規則案全体への意見期限(11月9日)とは別枠 |
| 未定 | 最終規則の公表。DHSは寄せられた意見を検討し、規則案を修正する場合がある[1] | 公表日の予定は示されていない |
| 最終規則の掲載から60日後 | 効力発生(規則案の提案)。この日以降の日付のDSO推薦から手数料がかかる[2] | 日付は未定 |
10月8日の官報掲載版は規則案(NPRM)であり、最終規則ではありません。新手数料は未施行で、施行日は未定です。
DHSが示した理由
- 不正・濫用への対策:SEVPが、学校・DSO・雇用主・学生による不正(実体のない勤務先、”pay-to-stay”と呼ばれる在留目的のスキームなど)を把握していると説明。国土安全保障捜査局(HSI)の調査で、疑わしい雇用主で働くOPT中のF-1学生を1万人超特定したと記載しています[1][2]
- 米国人労働者の保護:OPTがH-1Bビザの上限や費用を避ける手段になっているとし、初回7万ドルはH-1Bの費用に近い水準として設定したと説明しています[2]
- 学校に選別を促す:手数料を学校に課すことで、OPTの推薦をより慎重に、選択的にさせる狙いです[1][2]
- OPT停止の可能性にも言及:規則案には、この手数料がなければ不正防止の観点でOPTを運営できず、プログラムを完全に停止する可能性もあると書かれています[2]
- 規模:2024年に在学中・卒業後OPTで就労を報告したF-1学生は194,554人(2023年は160,627人)。DHSは年間の手数料収入を84億〜165億ドル(中位の推計で124億ドル)と試算しています[2]
規則案の内容と、報道・関係団体の見方
規則案に書かれていることと、報道や団体の解釈・予想を分けて整理します。右の列は規則案の内容ではありません。
| 論点 | 規則案の原文 | 報道・団体の見方 |
|---|---|---|
| 誰が負担するか | 納付義務は学校。学生・全学生・雇用主への転嫁は制限しない[2] | 実際の負担は留学生や採用企業に回るとの見方(ChosunBiz、10月8日)[5] |
| 1人あたりの金額 | 初回7万ドル。初回費用が納付済みでOPTに参加した学生の後続推薦は、その都度3万ドル。回数の上限は書かれていない[2] | 「1人最大10万ドル」とする報道(Higher Ed Dive、10月7日)[4]。在学中OPTとSTEM延長を両方使う場合は、条文上これを超える |
| 意見募集の期間 | 正式掲載版では、規則案全体への意見期限は2026年11月9日。書類手続き(PRA)に関する情報収集への意見期限は12月7日で、別枠[2] | 「60日間意見を募る」とする報道がある[5] |
| 2回目以降の扱い | 「以前にOPTに参加し7万ドルを払った学生」の次の推薦に3万ドル。同じ学校かどうかは条文に書かれていない[2] | NAFSAは「同じ学校での同じ学生の次の推薦」と説明[3] |
| 影響と評価 | DHSは、2024年に高等教育のF-1学生約140万人のうちOPT参加は約20%で、学校選びの理由は多様だと記載[2] | NAFSAは「留学生を遠ざけ、米国の革新と経済を損なう」として反対し、会員と意見を出すと表明[3]。元USCIS幹部が「法廷で無効になる」と予想したとの報道もある[5] |
報道・団体の見方は確認日時点のものです。訴訟や修正の可能性は予想であり、一次資料で確認できた事実ではありません。
公式案内で確認しておきたいこと
読者・エージェント・学校担当者が原文で確認できる窓口です。
- 官報(Federal Register)の規則案本文:FR Doc. 2026-20660「Optional Practical Training Fees」。10月8日掲載版の規則案への意見期限は11月9日、PRA情報収集への意見期限は12月7日です
- Regulations.govのドケット ICEB-2026-0100:意見の提出先です。英語で書き、ドケット番号と該当する箇所を示します。メールや郵送はDHSへの意見として扱われず、提出した内容は氏名を含めて公開されます
- SEVPの案内:DHSは、SEVIS Broadcast Message、Study in the States、ICE.govのPractical Trainingページで追加の案内を出すとしています
- 在籍校・出願先の国際学生オフィス:手数料を学校が負担するのか、学生や雇用主に求めるのかは、学校ごとに決まる見込みです
本記事は、個別の就労許可・在留・費用負担を保証するものではありません。最終規則の内容は意見募集の結果で変わる可能性があります。
よくある疑問
- もうOPTに7万ドルかかるのですか?
-
いいえ。10月8日に正式掲載されたのは規則案(提案)で、この案による新手数料は施行されていません。規則案は、最終規則が公表された場合、その掲載から60日後以降の日付のDSO推薦に適用する提案です[1][2]。
- 7万ドルは学生が払うのですか?
-
規則案上の納付義務は学校(SEVP認定校)です。ただしDHSは、学校が学生・全学生・雇用主に負担を回す可能性を認め、資金の集め方は制限していません[2]。学校ごとの扱いはまだ分かりません。
- STEM OPTの延長にもかかりますか?
-
規則案では対象です。すでにOPTに参加し、初回7万ドルが納付済みの学生へのSTEM OPT延長の推薦は、後続手数料3万ドルの対象です。一方、初回7万ドルをまだ納付していない学生が、施行日以後の日付で新たなSTEM OPT延長のDSO推薦を受ける場合は、移行条項によって7万ドルの対象になります。現在OPT中でも、この基準で扱われる案です[2]。
- すでにOPT中の人や、推薦を受けた人はどうなりますか?
-
規則案では、効力発生日より前にDSOの推薦を受けた人、承認済みの人、現在OPT中の人の分は対象外です。ただし効力発生日以降の日付で新しいOPT(STEM延長など)のDSO推薦を受けると対象になります[2]。
- CPT(在学中インターン)にもかかりますか?
-
いいえ。規則案はOPTに限り、CPTは扱わないとしています[2]。
- 意見はどこから出せますか?
-
Regulations.govでドケット番号「ICEB-2026-0100」を検索し、英語で提出します。規則案全体への意見期限は2026年11月9日で、オンライン提出は同日の米国東部時間23:59までです。PRA情報収集への意見期限は12月7日で、別枠です。提出時はRegulations.govの受付状況も確認してください[2]。提出内容は氏名を含めて公開されます[2]。
- F/Jの在留期間を固定する規則と関係がありますか?
-
別の規則です。規則案は2026年7月に公表された在留期間の固定化規則(Duration of Status Final Rule)にも触れていますが、手数料とは別の手続きです[2]。
出典と更新履歴
- DHS「DHS Proposes Fees for Foreign Student Work Program to Protect American Jobs」(2026年10月7日)。確認日時:2026年10月8日 08:18(日本時間)。初回7万ドル・2回目以降3万ドル、学校が推薦前に納付、未納なら就労許可なし、雇用主に結び付かない、財務省に納付。意見募集の正式な期限は下記の官報掲載版[2]を参照
- DHS/ICE「Optional Practical Training Fees」Notice of proposed rulemaking(Docket No. ICEB-2026-0100、RIN 1653-AB01、FR Doc. 2026-20660、2026年10月8日官報掲載、91 FR 64566–64600、正式掲載版PDF 35ページ)。正式掲載版の確認日時:2026年10月9日 08:16(日本時間)。提案条文8 CFR 214.2(f)(11)・214.13(i)、対象OPTの種類、返金、効力発生日(最終規則掲載の60日後)、移行措置、理由、経済分析、意見の出し方。規則案全体への意見期限は11月9日、PRA情報収集への意見期限は12月7日。オンライン提出は意見期間最終日の米国東部時間23:59まで。初回確認時の公開閲覧版PDF(10月7日公開、91ページ)も参照できます
- NAFSA「DHS Proposal to Establish New Optional Practical Training Fees Will Hurt U.S. Economy and Innovation」(2026年10月7日)。確認日時:2026年10月8日 08:20〜08:22(日本時間)。関係団体の声明(反対の立場)
- Higher Ed Dive「DHS proposes $70K fee for initial OPT participation and $30K for extensions」(2026年10月7日)。確認日時:2026年10月8日 08:20〜08:22(日本時間)。報道(「最大10万ドル」の表現)
- ChosunBiz日本語版「米国DHSがOPT手数料最大7万ドル導入検討」(2026年10月8日)。確認日時:2026年10月8日 08:20〜08:22(日本時間)。報道(負担の転嫁の見方、意見募集「60日間」の記載、元USCIS幹部の見方)
意見の提出先として、規則案はRegulations.govのドケットICEB-2026-0100を指定しています。本ページは10月8日付の官報正式掲載版に基づきます。規則案全体への意見期限(11月9日)とPRA情報収集への意見期限(12月7日)を区別し、提出時はRegulations.govの受付状況も確認してください。最終規則の内容・施行日は、今後の公式案内で確認が必要です。
更新履歴
- 2026年10月9日:10月8日の官報正式掲載を反映。規則案全体への意見期限(11月9日)とPRA情報収集への意見期限(12月7日)を明記。新手数料が未施行であることを保持
- 2026年10月8日:初版作成。規則案(提案段階)であることを明記。規則案の原文と報道・団体の見方を分けて整理

