JAOSは留学事業者を中心とする業界団体、NPO法人留学協会は留学相談や支援、資格認定、ADRを行う団体、J-CROSSは留学サービス事業者の認証を行う団体です。名称やロゴが一緒に表示されていても、会員としての所属、個人の資格、事業者への認証は、それぞれ確認する対象が異なります。 [about] [S19] [S04]
本記事では、3団体の法人形態、会員制度、認証対象、ADR、公表データ、保証の範囲を公式資料で比較します。留学会社の品質・安全性のランキングではなく、表示の意味を理解し、契約前の確認に使うための整理です。
確認基準日:2026年10月7日。 会員名簿は確認日の掲載情報、統計は各資料の対象期間に基づきます。
3団体の役割を比較する
| 比較軸 | JAOS | NPO法人留学協会 | J-CROSS |
|---|---|---|---|
| 法人形態と主な役割[about] [regulation] [S01] [S19] [S04] | 一般社団法人海外留学協議会。留学事業者を中心とする団体で、業界連携・ガイドライン・人材育成・調査を担う | 特定非営利活動法人留学協会。留学相談・留学生支援・資格認定・ADR運営などを行う | 一般社団法人留学サービス審査機構。留学サービス事業者の認証制度を運用する |
| 会員制度[member] [regulation] [S05] [S06] [S07] [S08] [CMP-JC-05] | 正会員・パートナー会員・アソシエイト会員・賛助会員 | 公開名簿は法人正会員・法人賛助会員・学校会員。資格者の名簿とは別 | 消費者が確認するのは認証留学事業者の一覧と認証有効期間。JAOS等の会員名簿とは別制度 |
| 認定や審査の対象[regulation] [CMP-JAOS-01] [CMP-JAOS-02] [S05] [S15] [CMP-LEGAL-03] [CMP-JC-02] [CMP-JC-03] | 団体への入会・会員のガイドライン遵守と、個人向けJAOS認定留学カウンセラー資格を区別 | 会員の入会審査、個人向けRCA資格、ADR業務の認証を区別 | 取引条件・説明書面・広告表示・支払いや苦情対応等について、留学サービス事業者を審査 |
| ADRとの関係[CMP-JAOS-01] [CMP-LEGAL-03] [CMP-JC-02] | 会員ガイドラインには契約履行やトラブル対応を定める。加盟表示をADR業務の法務大臣認証と読み替えない | 留学トラブル解決機関の業務が法務大臣認証第32号。対象は留学生と留学業者等、留学業者等相互間の民事上の紛争 | 認証基準に、機構の要請時にADRによる紛争処理を受け入れることを定める。事業者認証とADR手続を分けて読む |
| 公表データ[s2025] [member] [S12] [S15] [CMP-LEGAL-03] [CMP-JC-03] [CMP-JC-05] | 会員経由の日本人留学生数調査、会員名簿、組織情報等 | 会員名簿、事業報告の活動指標、資格合格者数、法務省掲載のADR取扱実績等 | 認証基準、申請・更新手続、認証事業者名・初回認証年月・有効期間等 |
| 表示だけでは保証されないこと[about] [CMP-LEGAL-01] [CMP-LEGAL-02] [CMP-LEGAL-05] [CMP-JC-05] | JAOSは個々の会員の事業への関与・責務を負わない旨を公式に明記 | 法人の設立認証やADR業務の認証から、会員企業の個別取引の保証を導くことはできない | 認証事業者に不適切な行為や倒産に伴う経済的トラブルが起きないことまで保証する制度ではない |
JAOSと留学協会とJ-CROSSの関係
J-CROSSの設立説明では、留学サービスの事業者団体であるJAOSとCIEL(留学・語学研修等協議会)、留学分野の消費者相談・紛争処理を行うNPO法人留学協会が協働して、事業者向けの基準と第三者認証の仕組みを設けたとされています。3つの名称は同一法人の別名ではありません。CIELはここでは設立に関わる団体として扱い、現行の会員制度を横並び評価する対象には含めません。 [S04]
この協働関係があっても、JAOSや留学協会の会員になれば、別の手続なしにJ-CROSS認証を得たことになるわけではありません。確認する際は、団体の会員名簿とJ-CROSSの認証一覧を別々に見ます。J-CROSSは申請書類を求め、認証後の表示・マーク使用にも有効期間を設けています。 [CMP-JC-03] [CMP-JC-06] [member] [S06]
会員制度と事業者認証で確認できること
JAOSの加盟とガイドライン
JAOSの定款は、留学事業者の正会員、在外公館等のパートナー会員、日本国外の教育機関に関するアソシエイト会員、活動を援助する賛助会員を区別しています。公式一覧から確認した掲載数は、正会員41、パートナー会員11、アソシエイト会員4、賛助会員9の計65団体です。65という数に留学会社だけが含まれるわけではありません。 [regulation] [member]
ガイドラインは、広告等での正確な説明、契約内容の説明と書面交付、契約履行とトラブル発生時の対応を柱としています。会員が守る自主基準として内容を確認できます。一方、JAOSは個々の会員事業には関与せず、責務を負わない旨を組織概要に明記しています。加盟先の契約内容や返金対応は、契約相手と個別に確認する必要があります。 [CMP-JAOS-01] [about]
留学協会の会員制度と相談活動
留学協会の公開名簿は、法人正会員61、法人賛助会員29、学校会員9の計99掲載枠です。これらには留学事業者以外の団体・教育機関等も含まれます。掲載行を集計した値で、すべての法人番号を照合したユニーク法人実数ではありません。JAOSの65団体とも定義が異なり、両方への加盟があり得るため、単純に足して業界の事業者数にはできません。 [S05] [S06] [S07] [S08]
協会は、留学業者の入会にあたり相談の寄せられ方やトラブルへの対応状況を確認し、返金ルールもチェックすると説明しています。これは協会の入会審査に関する説明です。本記事では、加盟先ごとの苦情ゼロや今後の取引結果を示す独立調査として扱いません。留学相談、会員制度、個人資格、ADRはそれぞれ利用条件と目的を確認します。 [S05] [S19]
J-CROSSの事業者認証
J-CROSSの認証基準は、留学等に関する代理・媒介などの事業を対象とし、重要事項の説明、契約書等の交付、変更・解除、海外機関への支払い、広告・表示、前受金の保全等、苦情対応を定めています。申請資料には、契約書、プログラム資料、財務諸表、クレーム対応体制・履歴などが含まれます。 [CMP-JC-02] [CMP-JC-03]
認証の効果は1年間で、継続には更新が必要と案内されています。認証一覧では、会社名・屋号、初回認証年月、有効期間を照合します。一覧の掲載だけで契約時点の有効性を判断せず、有効期間や更新状況まで確認することが重要です。 [CMP-JC-03] [CMP-JC-05] [CMP-JC-06]
前受金に関する基準は、財務状況、代金を請求する時点、送金代行の有無、保全措置などに複数の条件を設けています。認証があるだけで、預けた費用の全額が一律に保全されると読み替えることはできません。また、J-CROSS自身も、不適切な行為や倒産による経済的トラブルが起きないことを保証するものではないと説明しています。 [CMP-JC-02] [CMP-JC-05]
法人の設立認証とADR業務の認証を分ける
NPO法人の認証は設立のための制度
内閣府の説明では、NPO法人の設立には、法定書類による所轄庁の認証と、その後の登記が必要です。東京都も、この制度が個々の法人の活動に行政の保証を与えるものではないと説明しています。留学協会の法人設立に関する認証を、加盟する留学会社やプログラムへの行政による品質認証と解釈しないことが大切です。 [CMP-LEGAL-01] [CMP-LEGAL-02] [S01]
留学協会のADRは民事紛争の話し合いを支援する手続
ADRは、裁判によらず民事上の紛争解決を図る手続の総称です。法務大臣認証は、民間ADRの業務が法定の基準・要件に適合するかを対象にしています。留学協会が運営する「留学トラブル解決機関」は、2009年6月19日付の認証第32号として法務省に掲載されています。 [CMP-LEGAL-05] [CMP-LEGAL-03]
公表された対象範囲は、留学生と留学業者等の間、留学業者等相互間の民事上の紛争です。対象範囲や申立方法の説明には、利用者を協会会員に限定する記載はありません。ただし、申立書類、相手方の手続への応諾、手数料等があるため、個別案件の受理や条件は窓口への確認が必要です。一般の留学相談をしただけで、正式なADRが始まると考えないようにします。 [CMP-LEGAL-03] [S19]
J-CROSSの認証基準にも、機構から要請された場合にADRによる紛争処理を受け入れる旨があります。これは認証事業者に求める対応の基準です。J-CROSSの事業者認証、留学協会のADR業務、個別の和解成立や返金結果は区別して確認します。認証の有無から特定の解決結果を保証することはできません。 [CMP-JC-02] [CMP-LEGAL-03] [CMP-LEGAL-05]
カウンセラーの個人資格は別の確認項目
JAOS認定留学カウンセラー(JAOScc)は、JAOSが設けた知識・技能の習得と認定審査による個人向け資格です。留学協会のRCA海外留学アドバイザーも、海外留学に関する経験・知識・資質を認定する民間資格と説明されています。いずれも、資格者が所属する会社の全契約や全プログラムを認証する表示とは対象が異なります。 [CMP-JAOS-02] [S15]
担当者の資格を見るときは、認定する団体、資格の名称、本人の保有状況、更新の仕組みを確認します。「資格保有者が在籍」と「今回の担当者がその資格を保有」は別の事実です。資格の表示に加え、希望する留学先・目的への対応内容も確認すると、相談先を具体的に比較できます。
公表データは対象と期間をそろえて読む
| 資料 | 対象期間・確認できる値 | 集計上の注意 | 出典 |
|---|---|---|---|
| JAOSの日本人留学生数調査 | 2025年1~12月。加盟留学事業者41団体の公表集計総数168,931人 | 会員経由の調査。海外教育旅行とオンラインを含み、日本人の海外留学全体の悉皆数ではない | [s2025] |
| 留学協会の事業報告 | 2024年5月1日~2025年4月30日。相談事業の受益対象者は留学生・保護者約500人 | 受益対象者という人数。苦情件数やADR申立件数、解決件数への読み替えはできない | [S12] |
| 留学協会のRCA資格案内 | 2026年5月の第45回試験までで合格者1,480人と掲載 | 1年間の合格者、現在稼働する資格者、会員企業の数を表すものではない | [S15] |
| 法務省の留学協会ADR情報 | 認証紛争解決手続の年度別の受付・終了等の実績 | 一般相談・資格者・全国の留学トラブルとは別の集計 | [CMP-LEGAL-03] |
| J-CROSSの認証事業者一覧 | 事業者名、初回認証年月、認証有効期間等の掲載情報 | 市場全体の送客人数や、非掲載事業者の評価を示すデータではない | [CMP-JC-05] |
JAOSの2025年公表総数168,931人は、教育旅行138,421人と、それを除く個人区分30,510人の合計です。個人区分にはオンライン926人を含み、オフライン個人留学は29,584人と公表されています。このように、同じ「留学生数」でも何を含むかを確認して使います。 [s2025]
会員掲載数、認証事業者数、相談の受益対象者数、ADR件数、資格合格者数は単位と母集団が異なります。合算したり、数の大小を安全性や解決力の順位へ置き換えたりせず、目的に合う資料を選びます。
契約前に表示を確認する順番
- 表示の種類を確認する。 団体への加盟、事業者認証、担当者の個人資格、相談・ADR窓口のどれを示すかを分けます。
- 契約相手と公式掲載名を照合する。 ブランド名だけでなく、契約書にある法人・事業者名、会員区分、認証の有効期間を確認します。
- 今回の契約条件を確認する。 支払先・送金時期、提供される支援、変更・解約・返金条件、現地での対応窓口を、書面で確認します。
- 困ったときの利用条件を確認する。 一般相談と正式なADRを分け、対象分野、必要書類、費用、相手方の参加条件を確かめます。
団体の名簿や認証は、留学サービスを選ぶための確認材料になります。その表示がどの対象・期間・基準を示すのかを読み、実際の契約内容と組み合わせて判断することが、この比較の使い方です。 [CMP-JC-02] [CMP-JC-06] [CMP-LEGAL-03]
調査範囲
団体公式サイト、東京都のNPO法人公開資料、内閣府のNPO法人制度説明、法務省のADR情報を使用しました。会員数は公開名簿の掲載枠から集計し、名簿の全掲載先の法人番号や営業状況を個別に照合したものではありません。認証一覧に見当たらないことから、非会員・未認証・不適切なサービスと断定することは避けます。
本稿は制度と公表資料の一般的な整理です。個別契約に適用される法的判断、損害賠償や返金の見通しは扱いません。
出典一覧
| ID | 資料 | 参照箇所・対象 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| about | JAOSの設立趣旨と組織概要 | JAOSとは・設立趣旨・ページ末尾の責務に関する説明 | 2026-10-07 |
| member | JAOS会員一覧 | 正会員・パートナー・アソシエイト・賛助会員の各一覧 | 2026-10-07 |
| regulation | JAOS定款 | 第3条・第4条・第5条・第6条 | 2026-10-07 |
| s2025 | 日本人留学生数調査 2025年集計 | p1~3。2025年集計の対象・総数・教育旅行・オンライン内訳 | 2026-10-07 |
| S01 | 東京都 留学協会 法人・団体基本情報 | 認証日・法人番号・代表者・公開提出書類一覧 | 2026-10-07 |
| S04 | J-CROSSについて | JAOS・CIEL・留学協会の役割を区別 | 2026-10-07 |
| S05 | 法人会員について | 法人会員制度と審査の自己説明 | 2026-10-07 |
| S06 | 法人正会員 | 法人正会員の公式掲載一覧 | 2026-10-07 |
| S07 | 法人賛助会員 | 法人賛助会員の公式掲載一覧 | 2026-10-07 |
| S08 | 学校会員 | 学校会員の公式掲載一覧 | 2026-10-07 |
| S12 | 令和6年度事業報告書等 | 事業期間2024年5月1日~2025年4月30日、p1の相談事業・受益対象者欄 | 2026-10-07 |
| S15 | RCA海外留学アドバイザー資格認定試験について | 民間資格・2026年5月第45回まで合格者1480人 | 2026-10-07 |
| S19 | 協会の活動内容 | 相談・資格・ADR・留学支援等8活動 | 2026-10-07 |
| CMP-JAOS-01 | JAOSガイドラインの目指すところと会員の義務 | ガイドラインが目指すもの・ガイドラインの3原則・JAOS会員の義務 | 2026-10-07 |
| CMP-JAOS-02 | JAOS認定留学カウンセラー資格制度について | 資格制度・資格取得の流れ・資格更新 | 2026-10-07 |
| CMP-JC-02 | 留学サービス認証基準「ガイドライン」 | Ⅰ(1)~(4)、Ⅱ適用範囲、Ⅲ1~7、Ⅳ(1)~(5) | 2026-10-07 |
| CMP-JC-03 | 申請方法 | 認証のスケジュール、必要書類 | 2026-10-07 |
| CMP-JC-05 | 認証事業者一覧 | 一覧前の説明第1段落・箇条書き・免責段落、一覧表の現認定有効年月列 | 2026-10-07 |
| CMP-JC-06 | 認証後の取り扱い | 認証事業者の権利、認証事業者の義務、認証の取消し | 2026-10-07 |
| CMP-LEGAL-01 | 内閣府 認証制度について | 認証制度の概要/特定非営利活動法人(NPO法人)設立までの流れ、第1段落 | 2026-10-07 |
| CMP-LEGAL-02 | 東京都 NPO法人ポータルサイト | 都内のNPO法人を探す/NPO法人検索システム直下の注意書き | 2026-10-07 |
| CMP-LEGAL-03 | 法務省 かいけつサポート 留学協会(現行個別ページ) | 冒頭認証番号・年月日、1紛争の分野・種類・範囲、3手続実施者の職業・身分、6手続を依頼する方法、7被申立人の応諾確認、13取扱実績 | 2026-10-07 |
| CMP-LEGAL-05 | 法務省 かいけつサポート 制度について | 民間ADRの業務の認証制度の概要、認証ADRの特徴1、裁判と認証ADRの違いの注記 | 2026-10-07 |
更新履歴
2026年10月7日:公式公開資料に基づき初稿作成。3団体の役割・会員制度・認証・ADR・公表データを比較し、対象と保証の範囲を整理しました。

