留学関連の検索は、ひとつの言葉だけでは捉えきれません。「留学」の長期推移、「留学エージェント」を探す動き、「ワーホリ」と「ワーキングホリデー」の呼び方、国別・目的別の違いを分けて見る必要があります。
本稿では、日本からのGoogleウェブ検索を対象に、2004年1月から2026年9月までの検索インタレストを調べました。対象は21の検索キーワードです。数値は検索の相対的な関心度を示す指数で、検索回数、相談件数、実際の留学者数を表すものではありません。
調査条件と、このデータで分かること
- 地域:日本
- 期間:2004年1月1日〜2026年9月30日(2026年10月の途中データは除外)
- 検索種別:ウェブ検索/カテゴリ:すべてのカテゴリ
- 対象:「トピック」ではなく、表記を固定した「検索キーワード」
- 集計:月次273か月。年平均は月次指数の単純平均
- 取得日:2026年10月9日(日本時間)
Googleトレンドは、検索全体に対する対象語の相対的な割合をもとに、指定条件内の検索インタレストを0〜100で表示します。100はその比較条件内の最大値です。0は必ずしも検索が皆無だったことを意味せず、検索量が少ない場合にも表示されます。データはサンプルに基づき、再取得時に数値が変わる可能性があります。
各比較図はそれぞれ別の尺度です。たとえば国別比較のAとBで同じ「カナダ 留学」を入れても、指数の値は変わります。本稿では、別の図の指数を並べた総合ランキングや市場シェアを作っていません。
1. 「留学」の長期指数は低下。2022〜2024年には持ち直し
主要4語を同じ条件で比較すると、「留学」の年平均指数は2004年88.3、2019年49.0、2020年35.2、2021年33.0でした。その後は2022年41.8、2023年45.3、2024年44.3と持ち直し、2025年は38.6となっています。
2026年は9月までのため、前年の通年とは比較しません。1〜9月同士では、2025年40.3から2026年37.3へ、約7.4%低下しました。これは「留学」という入力語の検索インタレストの変化です。留学市場の規模が同じ割合で縮小したと解釈することはできません。

2. 「留学エージェント」は単独の尺度でも確認する
「留学」と同じグラフに載せると、「留学エージェント」の値は0や1に集中します。この状態で細かい増減率を計算すると、丸めの影響が大きくなります。そのため、同じ期間・地域で単独の系列も取得しました。
単独系列の年平均指数は2019年64.5、2023年89.8、2024年78.8、2025年66.6。2026年1〜9月は56.9で、前年同期の67.9を約16.2%下回っています。初期の0を「エージェント需要が存在しなかった」と読んだり、この指数を他図の「留学」と直接比較したりしないことが重要です。

3. 「ワーホリ」と正式名では長期の形が異なる
「ワーホリ」と「ワーキングホリデー」を2語で比較すると、2004年の年平均はそれぞれ18.0と69.8でした。2019年は44.2と30.3、2024年は70.0と26.9、2025年は54.8と17.9となっています。対象語の中では、長期的に略称の相対的な存在感が高まったことが分かります。
ただし、これだけで同じ検索者が正式名から略称へ移ったと断定できません。「ワーキングホリデー」には国内の取り組みなどを探す検索が含まれる可能性もあり、検索の意図は完全には一致しません。両語を足して制度利用者数の指標にすることも避けます。

| 検索キーワード | 2025年1〜9月平均 | 2026年1〜9月平均 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| ワーホリ | 57.2 | 55.2 | -3.5% |
| ワーキングホリデー | 18.2 | 16.3 | -10.4% |
月次指数の単純平均。増減率は丸める前の平均から算出。検索回数や留学者数の増減率ではありません。
4. 国別留学は、国名と「留学」を組み合わせて調べる
対象語は「カナダ 留学」「オーストラリア 留学」「アメリカ 留学」「イギリス 留学」「ニュージーランド 留学」「フィリピン 留学」「マルタ 留学」「韓国 留学」「台湾 留学」「アイルランド 留学」です。国そのものへの旅行・ニュース関心が混ざるのを抑えるため、国名単独ではなく「留学」を組み合わせました。
これは対象語を固定した比較であり、世界の全留学先を網羅した人気ランキングではありません。また「米国」「英国」などの別表記や英語表記を自動的にすべて集約した値でもありません。
英語圏5か国の比較
比較群Aでは、2026年1〜9月の各語の平均指数はすべて前年同期を下回りました。「アメリカ 留学」は21.2から16.2、「オーストラリア 留学」は17.2から15.0、「カナダ 留学」は16.6から14.2へ低下しています。同じ群内では、長期初期に大きかった語と、近年に差が縮まった語の関係を確認できます。

| 検索キーワード | 2025年1〜9月平均 | 2026年1〜9月平均 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| カナダ 留学 | 16.6 | 14.2 | -14.1% |
| オーストラリア 留学 | 17.2 | 15.0 | -12.9% |
| アメリカ 留学 | 21.2 | 16.2 | -23.6% |
| イギリス 留学 | 12.1 | 10.3 | -14.7% |
| ニュージーランド 留学 | 7.3 | 7.0 | -4.5% |
月次指数の単純平均。増減率は丸める前の平均から算出。検索回数や留学者数の増減率ではありません。
アジア・欧州の対象語も、同じ期間で確認
比較群Bでは、2026年1〜9月の平均指数は「韓国 留学」30.8、「フィリピン 留学」17.1、「台湾 留学」9.4、「マルタ 留学」7.2でした。いずれも前年同期を下回っています。この数値を、比較群Aのアメリカやオーストラリアの指数と直接比べることはできません。

| 検索キーワード | 2025年1〜9月平均 | 2026年1〜9月平均 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| カナダ 留学 | 28.3 | 24.4 | -13.7% |
| フィリピン 留学 | 21.6 | 17.1 | -20.6% |
| マルタ 留学 | 9.4 | 7.2 | -23.5% |
| 韓国 留学 | 33.1 | 30.8 | -7.0% |
| 台湾 留学 | 10.9 | 9.4 | -13.3% |
月次指数の単純平均。増減率は丸める前の平均から算出。検索回数や留学者数の増減率ではありません。
「アイルランド 留学」は比較群Cで別に確認しました。長期初期には0の月が多く、小さい値の割合変化は不安定になりやすいため、細かな順位や成長率よりも月次推移と継続性を重視します。

5. 目的・形態別では「語学」「大学」「高校」「短期」を分ける
目的・形態別では「語学留学」「大学留学」「高校留学」「短期留学」「親子留学」「社会人留学」「大学院留学」を固定して比較しました。区分は重なり得ます。たとえば短期の語学留学や、社会人の大学院留学もあるため、これらの指数を合計して市場全体の構成比にはできません。
比較群Aの2026年1〜9月では、「大学留学」の平均指数は前年同期の57.1から54.7、「高校留学」は14.7から13.8、「短期留学」は15.6から14.4へ変化しています。「語学留学」は12.2から10.0で、同群では低下幅が相対的に大きくなりました。

| 検索キーワード | 2025年1〜9月平均 | 2026年1〜9月平均 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 語学留学 | 12.2 | 10.0 | -18.2% |
| 大学留学 | 57.1 | 54.7 | -4.3% |
| 高校留学 | 14.7 | 13.8 | -6.1% |
| 短期留学 | 15.6 | 14.4 | -7.1% |
月次指数の単純平均。増減率は丸める前の平均から算出。検索回数や留学者数の増減率ではありません。
「親子留学」「社会人留学」「大学院留学」は「語学留学」を共通語とする別群で確認しました。2026年1〜9月の前年同期比はそれぞれ約17.5%減、29.1%減、8.7%減ですが、小さい整数指数を平均した結果なので、細かな差には慎重な解釈が必要です。

留学事業者が使う際のポイント
- 「留学」1語の上下だけで、すべての商品・渡航先の需要を判断しない
- 略称・正式名、国名表記、目的語を固定し、同じ条件で定点観測する
- 年の途中は前年同期と比べ、通年平均と混ぜない
- 小さい語は単独系列でも確認し、0や1の変化を過大に解釈しない
- 自社の相談件数や成約数、公的な留学者数とは、定義を分けて照合する
今回の検索インタレストには、2020〜2021年の低下、2022年以降の回復、2025〜2026年の再低下が複数の語で見られます。ただし、為替、学費、ビザ政策、検索行動の変化など、原因をこのデータだけで特定することはできません。Googleトレンドは、どの言葉への関心が変化しているかを把握し、追加調査の論点を見つけるための資料として扱うのが適切です。
出典・集計方法
データ出典:Google Trends。公式の従来版Explore画面に表示された月次データ表を転記し、集計・作図しました。Googleが配布するダウンロードCSV原本ではありません。取得時点の値に基づくため、後日の再取得値とは一致しない場合があります。

